「年収の壁・支援強化パッケージ」開始から一年。主婦・主夫層はどれくらい使ってる?利用していない 85.4%
2024年10月8日
ビースタイルグループ
仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実情や本音を探る調査機関『しゅふJOB総研』(運営会社:株式会社ビースタイル ホールディングス 本社:東京都新宿区、代表取締役:三原邦彦)は『年収の壁・支援強化パッケージの利用について』をテーマに、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層にアンケート調査を行いましたので以下にご報告します。(有効回答数:460件)
調査結果概要
1.仕事選びの際に目安にしている収入上限「103万」26.5%
2.収入上限ありの人に、最低賃金の上昇が与える影響「勤務時間減らす」41.6%
3.年収の壁・支援強化パッケージを「利用していない」85.4%
4.年収の壁・支援強化パッケージの利用/収入上限目安の有無と子どもの数別比較
5.フリーコメントより
1.仕事選びの際に目安にしている収入上限「103万」26.5%
2.収入上限ありの人に、最低賃金の上昇が与える影響「勤務時間減らす」41.6%
3.年収の壁・支援強化パッケージを「利用していない」85.4%
4.年収の壁・支援強化パッケージの利用/収入上限目安の有無と子どもの数別比較
5.フリーコメントより
◇フリーコメントより抜粋(年代:就業形態)
・扶養内で働こうと思うと凄く難しかった。時給が上がる度に休みの調整が必要なり、休めない時期にはタイムカードを切らずに働くこともあった。扶養内だと時給が上がった方が損した気分になった(30代:パート/アルバイト)
・主婦も元気な高齢者も働けと言っているが、制度は複雑で手続きは面倒。マイナンバー制度は何のためにあるのか?(50代:今は働いていない)
・上限を設けることで長時間働けなくなるのは、扶養制度があるから仕方ない。かといって、扶養制度が無くなれば働く主婦が増えるかというとそうでもないと思う。結局のところ、子育てや家事が無くならなければ働けない(40代:パート/アルバイト)
・賃金以外にも収入があるため特に必要と感じたことはありません。むしろそれで足を引っ張られている方が多いのではないかと思います(40代:フリー/自営業)
・私は主人の会社の家族手当受給のため103万以内にしています。そういう人も多いと思う。それがなければとっくに扶養など出ている(50代:パート/アルバイト)
・いろんな上限がありややこしいので、もっとわかりやすくしてもらいたい(50代:その他の働き方)
・収入上限があることで、最低賃金が上がることが逆に迷惑と感じる(50代:パート/アルバイト)
・扶養が外れる条件が緩くなったが、介護や子育てなどで扶養内で働きたい人の声は無視するのか、ととても腹立たしい(30代:今は働いていない)
・年金のことを考えれば、少しでも稼いではらっておいた方がよいと思う(60代:パート/アルバイト)
・制度が変われば転職など必要になる為、余計な制度を作らないで欲しい(50代:その他の働き方)
・上限を撤廃すべき 扶養家族かどうかは関係なく、個人の収入額に応じて税金や社会保険等を課す方が合理的だと思う(60代:パート/アルバイト)
・できれば扶養内に納めたいが、時給が上がると扶養から外れなければならない。時給を上げない、勤務時間を減らすなどマイナスの対策しかないのが不満。年収の支援パッケージも意図がわからない。そもそもの壁の額を上げないと時給が上がっているのだから意味がわからない(50代:派遣社員)
・時給(最低賃金)が上がっても130 万円の上限がずっと変わらないのはおかしいと思う。結局10月から枠を外して働く事にした(50代:パート/アルバイト)
・どういう仕組みにしたらよいのかはわからないが、人手不足解消のために女性を戦力化するのは理屈にあっていると思うし、そのためには収入制限を含めた制度の改正が必要だと思う。が、どういう制度がよいのかわからない(50代:フリー/自営業)
・時給が高ければ長時間働かなくても、社会保険を引かれても手元にある程度お金が残るからいいのに(40代:派遣社員)
・自分の希望する職種や勤務場所、時間、スキルアップできるかどうかのほうが優先順位が高いため、それを選んだ結果、収入上限を超え扶養を外れたり、納税額が増えたとしても仕方がないと思う(50代:パート/アルバイト)
・女性を安く雇用するための制度に見える(60代:今は働いていない)
・物価の上昇でもっと稼ぎたいが、主人の考え方(扶養内130万で働く希望)の収入制限で家計のやりくりが大変です(40代:パート/アルバイト)
・自治体の会計年度任用職員として扶養控除内で働いていましたが、今年度勤勉手当が増えたことにより、一気に年収が増え扶養から外れる見込みです。(中略)手当が標準報酬月額に含まれれば月収88000は満たすけれど、含まれないということで社保の適用にもならず、国保に加入しないといけません。また、手当の増加は政府のパッケージには相当しないという理由で、対応してもらえません(50代:パート/アルバイト)
・子育て、大学教育費にお金がかかる場合は収入上限をあげるなど対応して欲しいです(50代:契約社員)
・まだ子供に時間がとられるので、労働時間を伸ばしにくい。最低賃金とともに収入上限も引き上げてほしい(40代:パート/アルバイト)
・扶養制度の有無に関係なく、短時間勤務の仕事が増えて欲しいです(40代:今は働いていない)
しゅふJOB総研 研究顧問 川上敬太郎より
年収の壁対策として政府が行っている「年収の壁・支援強化パッケージ」。開始から一年が経ったのを受け、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に制度を利用しているかどうか尋ねたところ「利用している」と答えた人は14.6%でした。103万円や130万円などの収入上限目安があると答えた人だけに絞っても「利用している」と回答した人は25%超で、「利用していない」と答えた人が7割を超えました。約3割の人は「制度がよくわからないので利用していない」と回答しています。年収の壁をめぐる仕組みは複雑なだけに、そこに「年収の壁・支援強化パッケージ」が新たに制度として加えられたことでわかりにくく感じられてしまうのかもしれません。また、お子さんの数で比較すると人数が多いほど「利用している」比率が高くなりました。お子さんが多いほど生活費がかかる傾向にあるため、扶養枠に収めつつも年収の壁を超えて収入を獲得したいというニーズも高まりそうです。
収入上限の目安があると答えた人に最低賃金上昇の影響についてどう思うかを確認したところ「扶養枠に収めるため、勤務時間を減らさなければならない」と答えた人が4割を超えました。扶養内に収めて働こうとする人の中では、最低賃金の上昇が勤務時間の減少につながってしまうケースが少なくないようです。フリーコメントには収入上限に関する様々な声が寄せられました。置かれている状況や制度に対する考え方は異なるものの、主婦・主夫層の多くが収入上限に対する葛藤を感じていることが伺えます。「年収の壁・支援強化パッケージ」は収入上限をめぐる葛藤を和らげる応急措置の一つですが、複雑になっている制度の根本的な解決が必要とされているように思います。 |
<しゅふJOB総研 研究顧問 川上敬太郎 ープロフィールー>
1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業管理職、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼編集委員などを経て、2010年に株式会社ビースタイル(当時)入社。翌年、調査機関『しゅふJOB総合研究所』を起ち上げ所長就任。
これまでに、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ50000人の声を調査・分析し、300本以上のレポートを配信。2021年に独立し現職の他、ワークスタイル研究家として解説記事の執筆・講演、広報ブランディング活動のアドバイザリーなどに携わる。
実務経験分野は、人材派遣・紹介・アウトソーシングなど人材サービス事業に20年以上従事し、役員・管理職として営業や新規事業の立ち上げ、広報ブランディング、経営企画、人事など事業現場の最前線から管理部門まで管轄するなど多岐にわたる。人材マネジメントから法規制まで、雇用労働分野の幅広いテーマについて多数のメディア出演などを通して意見提言を行う。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。
Facebookページ:『ヒトラボ』編集長(2011年~)/Facebookグループ:『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰(2016年~)/すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役/日本労務学会員
厚生労働省 委託事業検討会委員
民間人材サービス活用検討事業「民間人材サービス事業者のノウハウを活用した女性の復職促進検討会」(平成29~30年度)
労働者等のキャリア形成・生産性向上に資する教育訓練開発プロジェクト事業「プログラム検討委員会」(平成29~31年度)
日本人材派遣協会 派遣事業運営支援部会員(平成20~21年、24年)、内閣府 規制改革会議 雇用WG勉強会(平成26年)など◇メディア出演
NHK『あさイチ』解説、テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』パネラー、フジテレビ『みんなのニュース:ふかぼり』解説などのテレビ出演の他、ラジオ・新聞・雑誌・ビジネス系ウェブメディアなどでコメント多数◇執筆・その他
ITメディア連載『働き方の見取り図』/JBpress連載『ワークスタイルの行方』他、日本経済新聞、日経MJ、時事通信、BUSINESS INSIDER JAPAN、プレジデントオンライン、J-CASTニュースBizなど執筆・寄稿記事多数。大学や地方自治体、男女共同参画センターなどでの講演、パネルディスカッションのモデレーターも務める
有効回答者数:460名(※)
調査実施日:2024年9月17日(火)~2024年9月30日(月)まで
調査対象者:ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOB』登録者
※調査対象者のうち、家周りの仕事について「同居家族はいるが主に自分が担当」または「同居家族と自分で概ね平等に担当 」のいずれかを選択した人のみを抽出して集計。
※当リリースに関して、研究顧問 川上へのインタビューのご要望があれば広報までご連絡ください
<しゅふJOB総研について>
「結婚・出産などのライフイベントに関わらず、もっと多くの女性が活躍できる社会をつくりたい」
そんな志から始まった2011年設立の研究所です。ライフスタイルと仕事の望ましいバランスに対する社会の理解を高め、女性のみならず誰もが働きやすい職場をより多くつくっていくために、定期的なアンケート等の調査を実施し結果を社会に発信しています。
※過去の調査結果はこちら⇒https://www.bstylegroup.co.jp/news/category/report/
※しゅふJOB総研公式ツイッター⇒https://twitter.com/shufujobsoken
※しゅふJOB総研は、東京大学SSJDAに過去の調査データを寄託しています⇒http://bit.ly/2n8jHIJ
<ビースタイルグループについて>
『時代に合わせた価値を、創造する。』という存在意義 -PURPOSE- のもと、その時代の社会問題や人々の不便を革新的な事業によって解決しようと取り組んでいます。創業以来、しゅふの雇用をのべ18万人以上創出してきた「しゅふJOB」や多様な働き方×ハイキャリアを実現する「スマートキャリア」など人材サービス事業を主軸に、業務自動化支援にも取り組み、使命 -MISSION- 『「はたらく」をもっと、しあわせに。』を、人と仕事の適材適所によって実現してまいります。
本プレスリリースに関するお問い合わせ先
ビースタイルグループ広報担当:川﨑・岩﨑
Mail:pr@b-style.net
お問い合わせページ:https://www.bstylegroup.co.jp/contact/