主婦の派遣労働者が派遣法改正をテーマに座談会

「私たちの仕事が少なくなるのは納得いかない」


ニュースリリース


2011年3月吉日
株式会社ビー・スタイル(東京)


主婦に特化した人材サービスを展開する 株式会社ビー・スタイル(本社:東京都新宿区 代表取締役:三原邦彦)が2011年2月9日に開いた座談会で、主婦を中心とする派遣労働者5名の本音が語られた。


座談会では、現在国会にて継続審議となっている改正労働者派遣法案が施行された場合、自分たちにどのような影響が生じると思うか等について質問。約2時間にわたり率直な意見が交わされた。


今回の座談会開催にあたり、ビー・スタイルは登録スタッフの中から参加希望者を公募。ビー・スタイル本社会議室にて座談会は行われた。参加した派遣スタッフは実際にビー・スタイルにて就業経験のある5名で、うち3名が主婦層。座談会で取り上げられたテーマは、大きく以下のとおり。


【 座談会で取り上げられたテーマ 】


(1) 派遣法の改正について知っているか
(2) なぜ、派遣という働き方を選んだのか
(3) 日雇派遣の原則禁止について
(4) 登録型派遣の原則禁止について
(5) 派遣法改正は自分たちの生活にどのように影響すると考えるか
(6) 派遣という働き方についての総括


今回の座談会を機に勉強したかったという参加者達は派遣という働き方を選んでいる理由について、「扶養枠内で働きたい」「親の介護の関係で月末月初だけ働きたい」「家業と両立させたい」などと回答。派遣を利用して家庭と仕事とを両立させている様子が浮き彫りとなった。


【参加者の声】


●扶養枠内で働きたいと答えたAさん


「今までは正社員で残業も多かったので、結婚後正社員で働きたいとは思いませんでした。でも、自分の経験は生かしたい。また、自分のことを一緒になってPRしてくれる人もほしい。派遣はそれらを満たし、経験に合わせて仕事を紹介してくれます。」


●高校から演劇をやっているというBさん


「自分の生き方として演劇を捨てることはありません。演劇を続けるためにスポットで働いて自分の生活を支えていたので、スポット派遣がなくなったら生活が不安。
また、学歴が関係ないというのも派遣のメリットです。私は高卒なので自分一人でエントリーした際はほとんど落ちてしまう。派遣だとフラットなところから始められ、派遣会社の人が間に入ってくれる。登録型派遣が禁止されることでそのメリットがなくなるのは厳しい。」
また以前世間を騒がせ、派遣法改正のきっかけとなった派遣切りや派遣村騒動については、「確かに派遣という働き方は不安定だと思います。しかし、私は自分でその働き方を選んでいる。他の人もその覚悟ができているのでは?私は派遣に夢を応援してもらっている気持ちです。」


●遠隔地に住む母親を介護しているというCさん


「(介護で)東京と愛知を往復しなければならないので月末月初だけの仕事を探していたところ、派遣という働き方に行き着きました。もともと正社員で働いていましたが、主人も私も互いに忙しい状況だと助け合えないし、どうしてもひずみが生まれてしまう。なので私が派遣を選び、主人の生活スタイルに合わせる形にしています。(そのような事情から)私たちは自分で派遣という働き方を好んで選んでいる訳で、無くされては困ります。」


彼女たちの発言で共通しているのは、みな派遣という働き方を自ら進んで選んでいる点だ。


今回の座談会で、彼女たちからNOを突き付けられた改正労働者派遣法案は、今も国会で継続審議となっている。社民党が国会で成立させようと躍起になっているものの、現在にいたるまで審議は殆ど行われないままだ。
彼女たちの発言からも多くの問題をはらんでいることが推察される改正法案。しかし政府は予算案の可決に協力するなら、見返りとして改正派遣法案を通すというバーターを社民党との間で協議しているとの一部報道もある。


改正労働者派遣法案が施行されると、政令26業務を除く全ての職種で登録型派遣が禁止される。改正法案が提出された当初は、この法案の効力が疑問視されていたこともあった。理由は登録型派遣の多くは政令26業務に該当しており、禁止対象となる業務は一部に過ぎないと考えられていたためだ。


しかしながら2010年の3月〜4月にかけて行われた『専門26業務派遣適正化プラン』以降、風向きは一気に変わった。 『専門26業務派遣適正化プラン』は、長妻厚生労働大臣(当時)の指示で行われた緊急業務監査。厚生労働省からの通達を受け、全国都道府県労働局が一斉に業務監査に動いた。その際、政令26業務の判定基準が、実質的に厳格化されたことが大きな波紋を呼んだ。


政令26業務のうち、特に槍玉に上がったのが5号業務と呼ばれる事務用機器操作。登録型派遣の中で、もっともポピュラーな業務である。各労働局の監査により、それまでは5号に該当すると思われていた業務がことごとく不該当の判定を受けた。
その結果、改正法が施行された場合、事務系職種での登録型派遣のほとんどが禁止見込みとなる異常事態にまで発展。派遣業界を震撼させている。


改正労働者派遣法案の骨格は、労働政策審議会内で議論されて作成された。しかしながら、その議論に当事者である派遣スタッフおよび派遣事業者の代表が加わっていないことがかねてから問題視されていた。今回ビー・スタイルが行った座談会で聞かれたような、派遣スタッフ自身の生の声が反映されることなく、この改正労働者派遣法案が可決・成立することへの懸念が有識者達からも指摘されている。


【他の意見】
座談会に参加した派遣スタッフからは、他にも以下のような声が挙がった。


■「スポット派遣がなくなった結果、社員が残業することになり、忙しい人はより忙しくなる逆に仕事がない人はずっと仕事を探し続けなければならない、ということになるのではないか。」
■「月に半分とか、週2・3日という働き方を禁止しないで欲しい。」
■「日雇派遣や登録型派遣は働く側も働きやすく、派遣を受け入れる企業側も両方ハッピー。なぜ無くすかよくわからない。
■「派遣法の改正によって、却って仕事をなくす人が増えるのでは。」


また、現在審議されている改正労働者派遣法案に対して人材派遣会社側にどのようなスタンスで対処して欲しいか、という質問に対しては参加した全員から、
「実際に働く人の声を(政治・行政に)届けて欲しい」という要望が出された。


【今後の方針】


今回の座談会を受けて、ビー・スタイル代表の三原は、「行きすぎた規制は派遣を選んで働いている人々を追い込むことにつながる。今の改正法案は見直すべき。彼女たちの切実な訴えを聞き、改正法案の廃案・見直し推進に使命感すら感じた。」と決意を込めて述べた。


ビー・スタイルでは、今後も継続的に派遣スタッフを集めた座談会を開催する予定。


■本件に関するお問い合わせ先
株式会社ビー・スタイル 社長室 広報担当 金子絵里香
〒160-0022  東京都新宿区新宿4-3-17ダヴィンチ新宿ビル5F