しゅふJOB総研所長兼ヒトラボ編集長の川上 敬太郎が 人事採用の「最近気になる話題」について解説します! 【今回解説するトピックス】 |
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人材派遣法(労働者派遣法)改正について
〈改正されると何が変わる可能性がある?〉
今年3月に閣議決定し、2015年9月1日に施行予定の「労働者派遣法改正案」。
大きな変更点の一つは
線引きがわかりにくいと不評だった「政令26業務」が撤廃されるということです。
現行では通訳やソフトウェア開発といった26業務は
派遣労働者の受け入れ期間に制限がなく
一方でその他業務は上限3年と定められていましたが、
改正後は全職種で一律3年に変わります。
加えて、届出制の特定派遣事業は
廃止され許認可制に統一されます。
特定派遣は一部悪徳業者の隠れ蓑になっているとの指摘があり
業界の更なる健全化策として期待されています。
改正に伴い、人材派遣サービスを利用している会社は
少なくとも以下のポイントに注意すべきでしょう。
業務ではなく人の受け入れ期間に制限全職種で派遣期間が上限3年になるので、3年後は直接雇用するか、不可能な場合は別の派遣社員に交代するなどの手段を講じる必要があります。一方、最長3年を限度に別の人員に入れ替えれば、派遣サービス自体は無期限で利用できます。 特定派遣も許可制になることで事業を継続する事業者が限られる取引のある派遣会社が特定派遣の届出しか行っていない場合は、許認可制への移行をいつ行うのかを確認する必要があります。中には廃業する特定派遣会社もあるかもしれません。 |
ただ、ルールの詳細は法案可決後に
労働政策審議会での議論を経て明らかになります。
法案可決から施行予定日近くになるまでの間
こまめに情報収集することをお勧めします。
女性管理職比率目標(女性活躍推進法案)の設定の義務化について
〈管理職登用のために何が必要?〉
少子化による労働力人口・経済規模の縮小に
歯止めをかけることは、企業のみならず国家の至上命題。
そこで、専業主婦約1000万人に代表される
潜在的労働力を顕在化させることの意義は大きいでしょう。
しかしながら、日本の女性は学歴が高く優秀にもかかわらず
欧米に対して25歳~44歳の就業率が低いのが現状です。
政府は企業に女性登用の数値目標や
行動計画の策定と公表などを義務付ける
「女性の活躍推進法案」を2月に閣議決定。
今国会での成立を目指しています。
法案が成立すれば、従業員300名超の会社は
以下のポイントに上げた取り組みが求められます。
女性の活躍に関する状況の把握、改善すべき事情についての分析
女性採用比率や勤続年数の男女差、労働時間の状況 、女性管理職比率 などの把握。
「事業主行動計画」の策定・公表等
上記の状況把握・分析を踏まえた上で、定量的目標や取り組み内容などを「事業主行動計画」として策定。
女性の活躍に関する情報の公表
省令で定める事項のうち、事業主が選択して公表。
女性の活躍範囲が社会で広がることで
企業は新たな労働力を得られ、家計は増え
女性の収入が消費に回り、税収効果も見込まれるなど
日本経済全体が循環する原動力になりえます。
企業にとっても採用難を打破できるばかりか
社内構造改革による生産性向上や女性視点を活かした
サービス向上なども期待できます。
イクボス(業績向上とダイバーシティ推進をANDで実現する21世紀型管理職)
〈組織の生産性と、働きがいを向上させるマネージャーとは?〉
女性の活躍推進施策が進むにつれ
企業には進化したマネジメントが求められています。
そこで注目を集めているのが
部下のWLB(ワークライフバランス)を応援しつつ成果も出してもらい
自身も仕事と家庭及び人生を充実させる管理職「イクボス」の存在です。
社員の力を引き出し、組織の生産性を向上させ
優秀な社員に継続して力を発揮してもらえるかどうかは
管理職の手腕にかかっています。
そこで、決して部下を甘やかすだけではない
イクボスがいることでチームのみならず社内全体の
パフォーマンスを引き上げるというのが狙いです。
WLBの充実は採用競争力や人材定着率にも深く関係します。
次のポイントに注意して、イクボスを育成しましょう。
管理職・職場のマインドシフト、フェア何よりも大事なのは、管理職の意識変革。管理職の意識で職場は変わる。 労働時間を柔軟に、長時間労働の是正、生産性の向上業務の見える化・仕組み化・分業化を推進し 労働時間の長さではなく、時間あたりの生産性で評価拘束時間で評価するという従来の慣習を捨て、介護や子育てをする制限付き社員の働きを評価するための指標を持つ。 |
イクボスによるマネジメントで
部下の力を最大限に発揮、家庭生活も充実させることで
部下自身の評価も上がり、人生は充実し
会社の業績も向上するという循環が期待できます。
『かかわるすべての人と、しあわせに』を実現するのがイクボスです。
今回のまとめ
企業活動の根幹を支える、採用・人事について非常に動きが多い時代になってきました。
採用・人事を司る責任者・担当者に求められているのは
「周りがやっているから」と無自覚に行動することではなく
社会の変化を感じ取り、これからの時代に必要とされる施策を先回りして検討することです。
特に、政府が主導している労働関連の法改正や女性の活躍推進等は
大きな流れとなって企業活動に様々な影響を及ぼすことが予想されます。
組織にとって重要な舵取りを担う者として
常に一歩先を見据えた準備を心がけていきましょう。
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